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  • 執筆者の写真家頭 恵

どのような時に労働問題として扱ってもらえるか知っていますか?

皆さんは労働問題という言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

パワハラ、セクハラ、サービス残業、不当解雇など職場での問題をイメージされる方が多いかと思います。しかし、具体的にどのような時に労働問題として扱ってもらえるのか、どのような問題が起きたときに相談をしたら良いのか把握している方は少ないのではないでしょうか?

本稿では、労働問題について事例を交えながら分かりやすくご説明させて頂きます。

 労働問題とは、雇い主である使用者と、雇われている労働者の間で発生するトラブル全般を指します。ひとことで労働問題と言っても、内容は多様多種であり、また、時代の流れを反映して新しい種類の問題が発生することもあります。

代表的な問題としては、以下のようなものがあります。

①解雇、内定取消、雇止め等の問題

②残業代不払等の賃金未払い

③労災とその適用可否

④セクハラ、パワハラ等いやがらせ問題

⑤労働条件に関する問題。

特に、この問題については、労働契約法20条で同一労働同一賃金の原則が採用され、いわゆる期間の定めのあるなしによる差別の禁止がなされてから着目されている問題です。

 弁護士が経験している限り、労働問題の原因は、会社側における法律の理解不足、あるいは理解していても経営上の都合でこれを無視しているという事が、多くの場合問題になりえます。

 例えば、法律上の管理監督者と日本語の「管理職」の定義が違うにもかかわらず、これを同一と混同している場合があります。後述の「店長」「副店長」、さらには「課長」「所長」といった肩書の人に対して、肩書だけに着目して残業代を払っていないという事例がよくあります。もちろん、違法であることを知っていながら残業代を踏み倒している事例も多数ありますが、そこまで多くないと思われます。

 解雇事件においては、解雇というのは容易にできないにも関わらず、独断で解雇されてしまう場合や、労働者が納得している、辞めてもらったと思っていたところ実は納得していないという認識の違いが原因になる場合が多いです。

 また、これらの法律の誤解や解釈、パワハラ、セクハラというのは、人間と人間の関係である以上、いじめ問題と同じで必ず起こるものです。

 最近は直接の暴力が振るわれるとか、いわゆるボディタッチのような直接の行為は減少してきています。しかし、人間の本質は変わっておらず、パワハラやセクハラが問題のある行為だということは当然に認識されており、パワハラをする方も記録に残らないよう注意して、かつしつこくパワハラをするようになり、パワハラを受ける側も、簡単な注意や指摘を安易にパワハラとして告発するようになっているのではないか、というのが私自身の感想です。

実際にいくつか事例をご紹介します。

 会社員であるオクタンさんは、現場作業の仕事をしていたところ、現場での勤務時間は8時から17時まででした。しかし、オクタンさんはこの現場作業の準備のため、朝6時には事業所に出勤し、6時45分から朝礼、7時には事業所から作業用の車両を運転して現場に行っていました。

 また、17時に現場が終わっても、事業所に戻ってくるのは18時を過ぎることが多く、ここから片づけや翌日の作業を行うと、19時くらいまで働くことがほとんどでした。1日の拘束時間は11時間程度だったにもかかわらず、残業代は固定でわずかしか払われていませんでした。

 オクタンさんは上司との人間関係がうまくいかず会社を休職し当事務所に相談をしてきました。当初の相談の趣旨は、残業代請求ではなく円満な退社の交渉でしたが、当事務所でオクタンさんの給料明細を確認し、労働時間の話をすると明らかに不払いの残業代が発生していました。

 この件は、会社側においても現場までの移動時間は労働時間ではないという誤った解釈で給料を支払っていなかったもので、会社側弁護士もこの点について会社の落ち度を認め、当方の請求額に近い残業代を支払ってもらってすぐに解決しました。

①オクタンさんの獲得したもの

 未払いの残業代金(解決金)として400万円

②解決手法

 交渉

③依頼から解決までの期間

 2か月

 会社員であるミラージュさんが解雇されたのは、定年退職のわずか1年前。

ミラージュさんはスポーツジムに勤務し、スーパーバイザーとして複数店舗を統括していました。しかし、スポーツジムの経営者が交代し、スーパーバイザーのポスト自体が廃止されることになりました。そのため、ミラージュさんは給料に変更はありませんでしたが、ジムの清掃管理部長となり、シルバー人材センターで雇用した人たちとともに清掃業務に従事することになりました。

 ミラージュさんは1年間清掃業務をまじめに行っていましたが、会社の方はジムの清掃業務自体をすべて外注にすることとし、かつ、この外注先の会社へ移籍することを同意するようにミラージュさんに求めました。労働条件は一見変更はないよう見えましたが、将来は分かりませんでした。

 そのためミラージュさんは移籍を拒否したところ、会社側としてはポストが無いために解雇したのです。

 ミラージュさんはすぐに当事務所に相談・依頼し、労働審判の申立を行いました。

会社側との労働審判で、裁判所はミラージュさんの言い分を全面的に認め、定年までの賃金に相当する解決金を支払うように会社に求めましたが、会社側はこれを拒否し、ミラージュさんを再度雇用することにしました。

ミラージュさんの獲得したもの

① 解雇が撤回され、定年まで働けることになった。

② 解雇の通知を受けてから、労働審判が終了するまでの賃金(賞与含む)が、全額支払われた。

③ 解決手法・労働審判

  解決までの期間 依頼から6か月

 私が労働事件をやっていて、相談を持ち込んでくる労働者はほとんどの場合、法律上の権利が侵害されているだけ、ということはなく、使用者や他の従業員から差別を受けている、労働者の方が使用者より会社を愛していて使用者の横暴に耐えられない等、法律以外の原因すなわち人間関係に起因するところが多くあると感じています。


リバティ法律事務所では、初回無料にてご相談を承っています。労働問題に該当するのか分からない場合でもお気軽にご相談下さい。



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