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借金だけじゃない!相続放棄を考えるべきケースとは?

  • 執筆者の写真: 家頭 恵
    家頭 恵
  • 8月4日
  • 読了時間: 4分

 「相続放棄」と聞くと、亡くなった親の借金を回避するための手続き、というイメージをもたれる方が多いかもしれません。しかし実務では、借金以外の事情で相続放棄が選択されるケースが数多く存在します。

 今回は、相続放棄を検討すべき意外なケースをはじめ、手続きの期限、よくある注意点、専門家へ相談するメリットを解説します。

 相続放棄とは、家庭裁判所に申し立てることで、最初から相続人ではなかったものとして扱う手続きです。プラスの財産もマイナスの財産(負債)も一切引き継ぎません。

 検討すべき代表的なケースは、以下の4つです。

ケース1:負債が財産を上回る場合 消費者金融や銀行ローンだけでなく、滞納していた税金や社会保険料、未払いの医療・介護費用も引き継がれます。負債が上回る場合は放棄が賢明です。

ケース2:保証債務がある場合 親が他人の連帯保証人になっていた場合、その立場も相続されます。現時点で親自身に借金がなくても、主債務者が不履行を起こせば突然高額請求が届くリスクがあります。

ケース3:管理が難しい不動産がある場合 地方の山林や買い手がつかない実家など、自分が住んでいないにもかかわらず維持費や固定資産税がかかり続ける不動産(いわゆる”負動産”)を引き継ぎたくないという理由での放棄も増えています。

ケース4:相続トラブルに関わりたくない場合 疎遠な親の相続に関わりたくない、遺産分割の泥沼化を避けたい場合も有効です。放棄すれば最初から相続人ではなくなるため、協議に参加する必要がなくなります。

 相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に申し立てる必要があります(熟慮期間)。

 起算点は死亡日ではなく「自分が相続人になったと知った時」です。疎遠だった親族の訃報を後から知った場合や、債権者からの通知で初めて借金を知ったケースなどは、知った時点からカウントされます。  なお、財産調査に時間がかかる場合は、家庭裁判所に申請して熟慮期間を延長(伸長)することも可能です。


 相続財産を処分すると、相続を承認したものとみなされ、原則として相続放棄ができなくなります(民法第921条・法定単純承認)。

例えば、

・預金を引き出して自分のために使う ・価値のある遺品を売却する

といった行為が典型例です。

 一方で、社会通念上相当な範囲の葬儀費用の支払いや、経済的価値の低い形見分けなどは、直ちに相続放棄が認められなくなるとは限りません。

 もっとも、判断は個別事情によって異なるため、相続放棄を考えている場合は、故人の財産に手を付ける前に弁護士へ相談することをおすすめします。


 相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ、申述書と戸籍謄本などの必要書類を提出して行います。


 裁判所から照会書が送付された場合は回答し、問題がなければ「相続放棄申述受理通知書」が交付されます。


 手続き自体は比較的シンプルですが、「放棄すべきか」「熟慮期間が残っているか」「単純承認に当たる行為をしていないか」といった事前の判断が重要です。


 相続放棄は一度受理されると、原則として撤回できません。後から高額な財産が見つかっても、なかったことにはできないのです。だからこそ、放棄の前に財産・債務の全体像を調査し、本当に放棄が最善かを見極める必要があります。


 弁護士へ相談すれば、財産調査、単純承認にあたる行為の回避、熟慮期間の伸長申立て、債権者への対応、次順位相続人への連絡まで、一連の流れを見通した判断が可能になります。


 特に期限が迫っている場合や、既に故人の財産に関わってしまった場合は、早めの相談が結果を大きく左右します。

 相続放棄は、借金だけでなく管理が難しい不動産や保証債務など、大きな負担となる財産を引き継がないためにも利用される制度です。一方で、3か月という期限があり、相続財産を処分すると放棄できなくなる場合もあります。


 「相続放棄すべきか判断できない」「借金や保証債務があるか分からない」とお悩みの方は、自己判断で進める前に、弁護士へ相談することをおすすめします。早めに適切なアドバイスを受けることが、円滑な相続手続きにつながります。




参考Webページ:

・e-Gov 法令検索「民法」より第921条「法定単純承認」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-Pa_5-Ch_4-Se_2-Ss_1

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