残業代請求問題・事例(1)

▶ 外回りの業務がある営業職等

(1)外回りの業務

 残業代未払いとなる外回りの業務として、例えば以下のものが挙げられます。

  ①保険会社の保険営業担当

  ②住宅販売業者における住宅販売担当

  ③ケーブルテレビ等の営業職

  ④訪問販売・買い取り業

  ⑤食品のルート営業業種

 その他、要するに事業所の外に出て営業活動・労働を行う場合です。  営業職が多いですが、現地見回りをする監督者等も多くいます。

(2)どうして、外回り営業職において残業代未払が発生するのか?

 外回り営業職において、残業代不支給が発生する要因は2つあります。

一つは会社がいわゆるみなし労働時間制度を採用していると考えている場合。

もう一つは営業職に対して歩合を払っているからそれが残業代の代用になっているという会社の勘違いです。この歩合が残業代の代用になるという誤解はトラック運転手の場合と同様です。

 
(3)みなし労働時間制度の勘違いによる残業代未払い

 

 みなし労働時間制度とは、出張や外回りといった事業所外の労働については労働時間算定が困難であること

から、所定労働時間を労働したとみなす制度です。 ですが、携帯電話が普及した現代において使用者が労動者を管理できないということは考えにくく、この法律が適用されることは無いでしょう。

 

厚生労働省の告知では、ポケットベルで労働時間を管理している場合ですら、みなし労働時間制度が採用されないことになっています。

また、労働時間がみなしとなるのは、外回り業務だけです。

全ての労働時間がみなしとなるわけではないのです。外回り業務があって、その後内勤業務がある場合には、内勤の部分はみなしとなりません。

 

多くの営業職は、外回りでお客様と会った後、事業所に戻って内勤しています。

そこで報告書の作成、電話での営業活動、パソコンへのデータ入力等の内勤があるのが通常です。その場合もみなし労働としてしまい、残業代の発生が見過ごされることが多くあります。

(4)歩合制による残業代未払いの勘違い

 

 「営業手当」「外回り手当」「職務手当」といった名称で、これを「残業代として支給する」と定めている会社があります。

 

このような形で残業代を支給するには

  ①法律にのっとった計算方法で支給額を定め、何時間分の残業代か契約書等に明記する

  ②契約で決まった残業時間をオーバーして労働した場合には、残業代の差額を支給する

という要件があります。

 

①を守っていない会社は論外ですが、よく見かけます。

①を守っている会社でも、②、すなわち時間オーバーの場合の差額支給をしていないことはよくあります。  こういった会社側の勘違いで、残業代未払いが発生するのです。

(5)どうして外回り営業職は残業代を請求しやすいのか?

 外回り営業の場合、どの営業先に何時に言ったか、何時に帰社したのかといった記録がつけられていることが多くなっています。  通常の従業員と同じように、タイムカードを打刻している場合には請求が簡単です。  そうでなくても、業務日報等があって労働時間を常に報告している場合、外回り先、営業先をメモしている場合等、労働した証拠が残っている業種が多くあります。  また、多くの外回り営業職の方は、ただ単純にお客様のところに行ってモノを売る営業のみではなく、報告書の作成やお客様へのプレゼンの実施、事務所当番といった内勤業務も義務付けられている場合が多数あります。  労働時間の把握が容易で証拠が残っていやすい仕事です。

(6)外回り営業職の残業代発生チェックリスト


★一応の残業代支給はあるが、労働時間に対応した残業代の計算がなされていない
★歩合給が支給されているが残業代は支払われていない。会社に聞いても「残業代は歩合に含まれている」と言われた。
★拘束時間は1ヶ月で計算すると230時間以上であるが、歩合給しか払われない。
★どれだけ働いても給料は同じ。
★ボーナスだけ歩合で変動するが、それ以外の月の給料は同じ。

​以上のように、外回り営業の方は残業代請求ができる場合があります。

​ぜひ、一度ご相談ください。

見出しを追加.png

(c)2010-2020 弁護士法人やがしら 船橋リバティ法律事務所 All Rights Reserved.
代表弁護士 家頭 恵