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残業代請求問題・事例(3)

▶ 飲食店店長・飲食店社員、その他店長職にあるもの

(1)どうして残業代未払が発生しやすいのか?

 飲食店・小売店の店長は「管理監督者」だから残業代が出ない、というということで残業代が支給されない旨を説明される場合があります。

しかしながら、当事務所で代理して請求した場合はもちろん、日本中の事例を見渡しても、飲食店の店長が労働基準法上の管理監督者と認定された事例は確認できません。

 

労働基準法上の管理監督者は「経営者と一体的な立場で」「労働時間・休憩・休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者」とされています。

 

具体的には、給料は経営者と同じくらいかちょっと少ない程度、出退勤は自由、部下の雇用・解雇については自由というのが原則となります。

 

飲食店店長は、

  ①給料が安い

  ②人事に関する裁量が小さい

  ③出退勤労働時間の自由が無い

という点から、管理監督者になる可能性はほぼありません。

有名な飲食店では、マクドナルド、セブンイレブンといった会社が店長に対する残業代を支払っています。

(2)どうして残業代の請求がしやすいのか?

 残業代請求手続のためには、労働時間の把握が簡単である必要があります。

こういった飲食店の店長は、労働時間の把握がしやすいというのがあります。

店長、副店長であっても店舗のタイムカードを打刻するのが普通です。 タイムカードが無くても、シフト表、ビルの出入館記録、店舗の客観的な営業時間等により、労働時間の把握が極めて容易に労働時間が把握可能です。

 

その上、店長職の社員は、残業代がつかないこともあって逆に労働時間が長期化しやすい傾向にあります。つまり、会社からしたら残業代を払わなくて良いと思っている店長、副店長に働かせてその分コストを下げようという狙いがあり、それが未払残業代の高額化につながっています。

(3)飲食店に限らない店長職・社員職の残業代未払い。

  「店長」「副店長」といった肩書がある従業員に対して、残業代を払わないところは多数存在します。近時有名になったところでは靴店店長(ABCマート)、ドン・キホーテの店長、セブンイレブン等が残業代未払を労基署等から指摘され、支払うことになっています。

当事務所の取扱事例においても、新聞販売店店長等、飲食店以外の従業員について残業代請求を行い、高額な未払残業代を獲得しています。

(4)店長職の残業代発生チェックポイント


★管理監督者扱いでどれだけ働いても給料が定額である。 
★定額の給料であるが、時給換算するとアルバイトと同じくらいになってしまう。   または、残業代がきちんとついている他の社員より少なくなってしまう。 
★人事権が無い。 
★アルバイトの採否を決定できるが、正社員は雇用・解雇することができない。 
★仕事に裁量が無い。  会社の許可を得ること無くメニューを決定する権限、取引先を変更する権限等が存在しないと、管理監督者とは言えないのが通常です。 

★店舗の営業時間が決定されており、出退勤の自由がない。 

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