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任意整理ができない?任意整理ができないケースとは

 弁護士に依頼して借金を返済する方法のひとつである任意整理。裁判所を使わずに業者と弁護士の交渉によって、返済額・回数を決定します。特別な法律上の条件はなく使い勝手のよい方法ではありますが、一方で任意整理が難しい場合があります。今回は、任意整理ができないケースについて解説します。

 任意整理をした場合、一般的に返済額は減少するものの、毎月一定額を返済する必要があります。ということは、まず収入がなくては任意整理ができません。また、任意整理での分割支払の回数は一般的に60回前後(5年)のため、依頼者の方に定期的な収入あっても、返済に足りうる金額が準備できない場合には、任意整理ができません。なかには最大で120回(10年)くらいの分割に応じてくれる業者はありますが、借入額がかなり高額でないと応じてもらえません。


 具体的には、借入が300万円程度であれば、毎月5万円を準備する必要があります。月5万円というのは、一般的な可処分所得としてはかなりの金額であり、配偶者と子供もいるような方だとかなり高収入でないと難しいといえます。もっとも、独身で親と同居していれば、それほど困難な額ではありません。そのため、任意整理ができるかどうかは収入も重要ですが、毎月の定期的な支出の額、すなわち家計の状況も重要です。


 とはいえ、依頼時には収入が無いまたは少ない状況でも、将来的に返済可能収入を得られる見込みがある場合には、任意整理ができる可能性があります。ただ将来的な収入改善ができなければ、弁護士としては自己破産または個人再生を推奨し、それもできないようであれば辞任すること(お断りすること)になるのが一般的でしょう。


 「収入がなくては任意整理ができない」と前述しましたが、仕事の有無は影響しません。たとえば無職や家事手伝い、専業主婦(夫)の方であっても、年金や配偶者の収入などがあれば、任意整理は可能になります。ただし生活保護を受給している場合には、保護費からの返済はできませんので、任意整理はできません。

 

 任意整理ができない場合についての条件をまとめますと、次のようになります。

  

 ① 生活保護受給者

 ② 無収入

 ③ 収入があっても、60回前後で返済できる目途がつかないほど借入額が多い  

 ただし依頼時に①②③の状態であっても、将来収入を得る見込みがあれば、任意整理の依頼は可能です。


 ほとんどの貸金業者は、60回払いくらいまでの分割であれば交渉に応じてくれます。貸金業者としても、分割払いに応じなければ破産や個人再生の手続を取られてしまうことがわかっているからです。


 しかし、以下のパターンの場合、業者が交渉に応じてくれない場合があり、任意整理が困難になります。


 ① 給料等が差押えされている

 支払を滞納し督促を無視していると、裁判を経て給与が差し押さえされるケースがあります。その場合には、業者としては毎月その給与から返済を受けているので、任意整理するメリットがなく、応じてくれません。


 ② 借入してから任意整理に至る期間が極めて短い

 最初の借入から1年以内で任意整理の手続を取った場合には、業者が交渉に応じず、一括払いを求めてくるか、分割回数が24回(2年)以下に制限される場合があります。これは、業者としても取引期間が短く利息収入を十分に得られていないことから、分割払いでは許さず、厳しい対応となるようです。


 ③ 担保物のある債務

 自動車や家のローン等は、担保の目的となっている家や自動車を処分した上でないと分割交渉はできません。


 任意整理は便利な手続ではあるものの、自己破産・個人再生と比較すると効果は小さいので、任意整理できないケースの場合には、早めに自己破産あるいは個人再生の手続を進める方がメリットは大きいと思われます。もちろん「絶対に任意整理の手続きを選択したい」というケースも多くありますので、悩んだらまずは弁護士に相談しましょう。現在では、ほとんどの法律事務所が、相談料無料で対応しています。




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