• 家頭 恵

あおり運転を受けたことによる慰謝料請求について


 当事務所では、あおり運転に対する慰謝料請求を積極的に受任しています。ただし費用対効果の関係から、弁護士費用特約を利用できる方のご利用を推奨しております(弁護士費用特約は必須ではありませんが、経済的メリットは極めて小さいものと思われます)。

 あおり運転に対して慰謝料の請求ができるかどうかについて、過去の記事で簡単に紹介していますが、今回はもう少し掘り下げたいと思います。


 前回の記事の通り、あおり運転を受けたことによる慰謝料というのは、かなり安いものと考えれらます。具体的態様によりますが、1回のあおり行為で50万円を超える慰謝料が発生すれば、かなり多いと考えられます。それは交通事故に限らず、身体的損害に対する慰謝料の多くが、通院日数・通院期間等の「病院に行った回数」で決定されているからです(離婚・不倫・名誉棄損・セクハラ等、これにあてはまらない慰謝料類型もあります)。


 「あおり運転を受けた」だけでは、通常、怪我をすることは考えられません。そうすると、あおり運転をした場合においては慰謝料は極めて安い、ということが言えるでしょう。しかし現代においてこれだけあおり運転の問題が取り上げられているという情勢からすると、あおり運転と評価されるような運転行為を受けた場合には、慰謝料請求ができるものと考えられます。当事務所においても同様の事例を扱ったことがあり、結果としては慰謝料の支払を受けました。


 あおり運転を受けた場合、泣き寝入りせず、きちんと慰謝料請求をすることが必要です。

ハラスメント問題やネット上の名誉棄損問題もそうですが、立証をして慰謝料をきちんと請求していくことが、最終的に「あおり運転」という危険行為そのものを減少させる手助けになるのではないかと思われます。

 通常の交通事故と異なり、あおり運転を受けたことで慰謝料を請求するには多くのハードルがあります。


1 立証

 あおり運転で慰謝料請求するためには、まずあおり運転と評価できるほどの威圧を受けたことを立証する必要があります。では、あおり運転をされたことを立証するのはどうすればよいでしょうか。


(ア)ドライブレコーダー

 録画をすることで、あおり運転の事実の立証は容易です。一般的な交通事故の立証にも役立つものなので、付けておいて損はありません。


(イ)録画

 同乗者がいれば、スマートフォンで録画をすることで立証が可能です。


(ウ)通報による確保

 相手を停車させ、あおり運転を受けたという事実を通報することです。


 なお、これらの立証に際しては、相手のナンバーを控えておくことが非常に重要です。なぜなら、相手の住所・氏名等がわからなければ、請求ができないからです。レンタカーの場合には、レンタカー会社に照会をかけることになります。


2 請求手続

 (1)弁護士と相談・契約

 まずはあおり運転の被害を受けたとして慰謝料が請求できるかどうかを確認します。上記のようにあおり運転は立証が困難な場合がありますので、それが可能かどうかも含めての相談になります。

 相談の上、請求が可能と弁護士が判断し、かつ、相談者が希望すれば契約となります。相談料は無料です。弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用も保険会社負担となります。


 (2)弁護士による交渉等

 まずは弁護士請求書を送付し、相手方に金銭請求をします。弁護士と加害者で交渉をします。加害者が支払を認めて、依頼者が合意すればその時点で解決となります。


 (3)相手方が賠償に応じない場合には、裁判の手続を取ります

 相手方があおり運転行為を否認している時は、上記のような証拠が必要になるでしょう。


 次は、あおり運転を受けた結果、事故を起こした場合です。交通事故の慰謝料については、通院期間等に応じた相場が決まっている関係上、あおり運転の結果の事故であっても、ほとんどの費目は原則通常の事故と同じ賠償額です。しかし交通事故事件においては、加害者の悪質性が立証されれば、慰謝料に関しては増額される可能性があります。


 “加害者に故意もしくは重過失(無免許、ひき逃げ、酒酔い、著しいスピード違反、ことさらに信号無視、薬物等の影響により正常な運転ができない状態で運転等)または著しく不誠実な態度がある場合”-民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(通称赤い本)令和2年225ページ引用-


そのような場合に、慰謝料が増額されているケースがあるからです。この赤い本に「あおり運転の結果事故が発生した場合」が追加されるのもそう遠いことではないと思われます。




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