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友人が暴行される動画をSNSに投稿するのは違法なの?

  • 執筆者の写真: 家頭 恵
    家頭 恵
  • 6 日前
  • 読了時間: 4分

 スマートフォンの普及に伴い、学校内や放課後のいじめ・暴行動画がSNSに投稿されるケースが後を絶ちません。

 特に最近では、自ら投稿するだけでなく、インターネット上の正義の味方を標榜する告発系アカウントに動画を持ち込み、加害者の特定や炎上を狙う動きも見られます。

 「世間に知らせて助けたい」「警察や教育委員会を動かしたい」という切実な正義感。しかし、その一歩があなた自身を犯罪者や賠償責任者に変えてしまうリスクがあることをご存知でしょうか。


 今回は、弁護士の視点から、この問題に潜む「法的な落とし穴」を解説します。

  最も注意すべきは、助けたいはずの友人のプライバシーを、あなた自身が侵害してしまう点です。


肖像権・プライバシー権の侵害 被害者は、自分が暴行を受けている無残な姿を、不特定多数にさらされたいとは思っていないはずです。本人の承諾なく投稿すれば、たとえ友人であっても不法行為が成立し、慰謝料などの損害賠償責任を問われる可能性があります。


二次被害の拡大(デジタルタトゥー) 一度拡散された動画は「デジタルタトゥー」として一生残り続け、友人を苦しめます。ネット上での誹謗中傷や、数年後に就職活動などで動画が掘り起こされるなど、さらなる悲劇を生むきっかけになりかねません。


 自分で投稿せず、影響力のある「告発系アカウント」に動画や個人情報を送る行為も、法的には極めて危険です。


名誉毀損罪(刑法230条)の共同正犯

日本の法律では、たとえ内容が事実であっても、公然と他人の社会的評価を下げる行為をすれば名誉毀損罪が成立し得ます。告発アカウントに情報を提供し、それによって名誉毀損が行われた場合、情報提供者も「共犯(共同正犯)」として処罰される可能性があります。


私刑への加担

告発アカウントによる特定作業は、時に誤情報を拡散し、無関係な第三者を巻き込むことがあります。もしあなたの提供した情報がきっかけで無関係な人が攻撃された場合、その損害賠償責任はあなたにも及びます。


法的な解決の妨げ

過度な炎上は、警察の捜査や学校の適切な処分を難しくさせることがあります。加害者がSNSで過剰なバッシングを受けたことを理由に、裁判で刑が軽くなったり、逆にあなたを訴え返してきたりする逆転現象を招く恐れがあるのです。


 暴行現場を止めに入らず、傍観して撮影を続けていた場合、別の罪に問われるリスクもあります。


現場助勢罪(刑法206条)

カメラを向ける行為が、周囲から「煽っている」「面白がっている」と解釈されると、暴行の勢いを助けたとみなされ、あなた自身が刑事罰の対象になる可能性があります。


 友人を守るために最も有効なのは、SNSに投稿して私刑を煽ることではなく、その動画を、被害者本人が法的な救済を求めるための盾として渡してあげることです。

 実務上、警察などの公的機関は、第三者が動画を持ち込んでも「当事者同士の問題」として慎重な姿勢を取ることが少なくありません。事態を動かすには、被害者本人の申告が何より強力なトリガーとなります。

被害者本人の被害申告をサポートする

いじめや暴行を受けている本人は、恐怖や無力感から「訴えても無駄だ」「自分が悪いのではないか」と思い詰めていることが多いものです。あなたが撮影した動画を見せ「これは明確な犯罪(暴行・傷害)であり、君は悪くない。証拠ならここにある」と伝え、本人が警察や学校へ相談に行く勇気を支えてあげてください。

警察や専門機関へ本人と一緒に行く

動画は、客観的な事実を証明する揺るぎない証拠になります。被害者本人が警察署の生活安全課や法務局の人権相談窓口へ向かう際、撮影者であるあなたも目撃者として同行し、証拠動画を提出することで、捜査や調査がスムーズに開始されます。

弁護士を通じて本人の権利を守る

加害者への謝罪要求や損害賠償、学校への適切な対応を求める場合、弁護士は被害者本人の代理人として動きます。動画という強力な武器があれば、被害者のプライバシーを最大限守りながら、法的に正しいルートで加害者側に責任を取らせることが可能です。


 友人の力になりたいという熱い思いは、SNSで拡散して一時的な注目を集めるためではなく、友人が再び前を向くための法的手段として使ってください。一度ネット上に流れた動画は、被害者のプライバシーを一生縛り付ける鎖にもなりかねません。


 動画という証拠を、友人を救うための最大の武器にするために、まずは被害者である友人と話し合い、警察や弁護士といった専門機関へ相談するよう促してあげてください。


 もし、「友人を助けたいが、どうアドバイスしていいか分からない」「動画をどう役立てるのが本人にとって最善か」とお悩みであれば、まずは弁護士にご相談ください。被害者本人が一歩を踏み出すための、法的なバックアップを全力で行います。




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