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  • 執筆者の写真家頭 恵

子供の親権が決まるポイント5選!

当事務所では、それほど件数は多くありませんが、親権争いの代理をしております。ただ私が見た限り、子供と別居している親が、同居している親から親権を獲得できた例はありません。そうすると親権を獲得するには、「子供と同居していること」こそが大切であって、事実上の確保こそが重要になるということになります。


この結果、子供の奪い合いや連れ去りを家庭裁判所が容認し社会問題化しているという現状があります。この点はまた別の問題で、機会があれば書いてみたいのですが、正直、かなりナイーブな問題で難しそうです。

本音が先になりましたが、親権を父親・母親のどちらにするかは、建前上は、以下の要素で運営されています。さまざまなサイト等で紹介されていますが、それを私の方でまとめてみました。


(1)子供の意思と母親優先

対象の子供が中学生くらいであれば、もう子供の意思が100%に近くなります。

この場合、家庭裁判所が親権者を定めたとしても、子供が自分の意思で親を選べます。さらに家事事件法では、15歳以上の子供には、審判・訴訟時に意見聴取が必ず行われます。


誤解を恐れずに言えば、家庭裁判所では幼児から小学生くらいの子供に「独自の意思」を認めていないともとれるでしょう。この理由としては、子供が小さいうちは一緒にいる親に迎合する傾向にあるからだとされています。さらに乳幼児などの意思表示自体が困難な場合には、母親が優先されます。これは「母性優先の原則」ですが、これについては疑問の声が上がっていることも確かです。


(2)家庭環境の持続性

簡単に言えば、「離婚しても子供の環境が変わらない方」が望ましいとされています。

このことが、親権争いにおいて同居している親を有利にしており、かなり問題視されていますが、「子供の福祉」を最優先する家庭裁判所はこの運用をしています。とは言っても、連れ去りの違法性が高い場合には、その親への信頼性が低下するとされています。


具体的には、子供の通う小学校等に乗り込んでそのまま連れ去るという誘拐に近いものや、面会交流を利用して事実上の監護下に置く等の行為です。こうした場合には、子供の環境の持続性はあるにしても、違法行為を平然と行う親のもとでの養育がふさわしくないとみなされることがあります。


(3)面会交流の許容性

家庭裁判所は、面会交流(子供が別居している親と会ったり、交流できる機会)に対して積極的である方の親権者による監護を優先させる傾向にあります。「子供が会いたがっていない」というのは基本的には理由になりませんが、この点もやはり中学生くらいになると子供の意思が尊重されるようになります。



(4)兄弟姉妹は一緒

兄弟姉妹は、全員同じ環境で共に育つのが望ましいとされています。この観点から、兄や姉が一方の親を選んだ場合には、そちらが親権者として指定されやすくなります。




(5)監護体制が整っているか

主に、子供と暮らしていける収入及び物理的に子供の面倒をみることができるかどうか、という点です。


例えば、収入は多くとも土日も出勤で残業ばかりというような場合は、監護体制が整っていないとみなされます。逆に労働できず子供を養育する十分な収入が無い場合には、子供の十分な養育が難しいとされます。ただいずれも比較の問題ですし、収入については養育費もあてにできるので、労働していない方が有利とみる考えもあります。


父親・母親の本人たちだけでなくその両親、すなわち子供の祖父母らなどが面倒をみれるかどうか等も重要です。子供たち全員の居住スペースがあるのであれば、実家に戻るという選択がよいかと思われます。



以上のような点から、家庭裁判所は父親・母親のどちらが親権を持つのがふさわしいかについて判断しています。ただ「結局は同居している親が超有利」であるという認識は間違いではないと思います。


こうした同居という事実のみで親権を認めてしまうのは、法律・裁判所の機能の限界であり、なかなか難しいところです。なお私は、日本での「親権」というものについては反対している立場です。さほど研究しているわけではありませんが、諸外国では「共同親権」が認められているようです。日本では離婚届の提出時や離婚訴訟に際しても親権者を定める必要があり、これがスムーズな離婚を妨げていると思われます。ただ離婚をスムーズにされても、家を重んじるという日本国民の感覚には馴染まないのかもしれません。


もし子供の親権争いでお悩みのことがございましたら、一度、当事務所にご相談ください。




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