その副業、実は詐欺かも?―SNS型詐欺と口座提供の罠
- 家頭 恵

- 4月21日
- 読了時間: 3分
「SNSで知り合った人に口座を貸しただけ」「副業サイトで指示されただけ」
そんな軽い気持ちで行った行為が、実はSNS型特殊詐欺の「資金洗浄(マネーロンダリング)」に加担していたというケースが増えています。
かつては「指示役に騙された被害者」という側面が考慮されることもありましたが、近年の裁判所は、非常に厳しい視線を向けています。
令和6(2024)年6月6日、東京地方裁判所はSNS型特殊詐欺に関する重要な判決を言い渡しました。

この事件では、口座を提供した人物(提供者)が「アルバイトと思っていた」「詐欺に使われると知らなかった」と主張しました。しかし裁判所は、以下の点を根拠に、詐欺被害額の全額にあたる損害賠償責任を認めました。
口座提供の対価として報酬を受け取っていた
SNSで見知らぬ相手から口座提供を求められており、不審と感じられる状況だった
社会通念上、口座の安易な提供が詐欺等の犯罪に利用されるリスクは広く知られている
つまり、「知らなかった」という主張は通用せず、「知らなかったこと自体が過失だ」 と判断されたのです。
被害額が数百万円に及ぶ詐欺事件では、その全額が賠償請求の対象となります。口座を貸したことで得た報酬が数万円であっても、請求される賠償額はその何十倍・何百倍にもなり得るのです。
参考
日弁連消費者問題対策委員会「消費者問題ニュース221号」(2025年1月)より
「東京地判令和6年6月6日/SNS型特殊詐欺事件/口座提供者が被害額全額の賠償責任を負うことを認めた判決(全体説)」
まず大前提として、口座を他人に貸す・売る行為は絶対に避けるべきです。特に、次の3点は必ず押さえてください。

SNSで口座情報を求められたら、理由にかかわらず断る
どれほど丁寧な言葉で説明されても、SNS上の見知らぬ相手から口座情報やキャッシュカードを求められたら、きっぱり断ってください。正当なビジネスで他人の口座を借りる必要がある状況は、ほぼ存在しません。
「お金を受け取るだけ」は最も危険な誘い文句と心得る
「入金を確認したらすぐ出金してほしい」「仮想通貨に換えてほしい」といった依頼は、マネーロンダリング(資金洗浄)への加担を求められているサインです。
少しでも不安を感じたら、その場でスマートフォンで検索する
「口座 貸す 違法」「○○ 詐欺」と検索するだけで、多くの情報が得られます。判断に迷ったとき、その場での確認が被害を防ぎます。
「すでに口座を貸してしまった」「警察から連絡が来た」「弁護士から内容証明が届いた」
いま現在そんな状況に置かれている方は、一人で抱え込まず、直ちに弁護士へ相談してください。
早期に弁護士に相談することで、以下の対応が可能になります。
刑事手続きにおける適切な対応・弁護活動
捜査機関への自発的な申告による情状面の有利な扱い
民事訴訟における賠償額の減額交渉(過失相殺の主張等)
詐欺グループによる恫喝・脅迫への対処
「自分は騙された被害者だ」と感じるのは自然なことです。しかし法的には、その行為が被害拡大に関与した以上、責任を問われる可能性がある複雑な立場に置かれているのが現実です。だからこそ、専門家のサポートが不可欠です。
「叱られるのではないか」と不安にならず、まずはありのままをお話しください。早く動くほど、取れる選択肢は確実に広がります。早期に対応しない場合、状況が不利なまま固定されてしまう恐れがあります。
SNS型詐欺は、誰もが巻き込まれる可能性のある身近な問題です。「自分は大丈夫」と思っていても、一度関与すれば思いもよらない法的責任を負うことがあります。
少しでも不安を感じたら、一人で抱え込まず、専門家に相談することが重要です。それが結果的に、自身を守る最善の選択となります。




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