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休職期間満了による自動解雇は避けられないの?

  • 執筆者の写真: 家頭 恵
    家頭 恵
  • 7 日前
  • 読了時間: 4分

 仕事のストレスからうつ病を患い、ようやくの思いで休職に入ったあなた。しかし、会社から届いた一通の通知に血の気が引く思いをしていませんか?


 休職期間が満了しました。

 復職できない場合は、就業規則に基づき退職(または解雇)となります。


 近年では、こうした就業規則を盾にした解雇が横行していますが、それが法的に常に正しいとは限りません。会社側のルールという言葉に屈せず、労働者の生活と権利を守る方法について、弁護士が解説します。


 多くの現場では、就業規則が万能の解雇理由であるかのように扱われ「休職期間の終了」という一点のみをもって、一方的に関係を断ち切ろうとしてきます。


 しかしこれまでの裁判例では、会社に対して「復職に向けた配慮」を厳格に求めています。


・元の業務が無理でも、負担の軽い他の業務ならこなせるのではないか?

・段階的な復職(試し出勤など)の検討をしたか?

・そもそも、うつ病の原因が業務上の過重労働やパワハラにあるのではないか?(この場合、休職期間中の解雇は原則禁止です)


 これらのプロセスを飛ばした解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当ではないとして、無効になる可能性が高いのです。


 また一方で、会社側が「主治医の診断書があっても会社の指定医がダメと言っている」と主張し、復職を拒否するケースもよくあります。


 しかし労働者が以前と全く同じパフォーマンスを出せなくても、配置換えなどをすれば十分に働ける状態であれば、法的には「治癒(復職可能)」とみなされることがあります。会社側が、あなたの可能性を勝手に狭めることは許されません。


 病気で休職しているという負い目から、会社に言われるがまま退職届を書いてしまう方が後を絶ちません。退職届に一度サインをしてしまうと、後から覆すのは非常に困難です。


 サインをする前に、以下の対応を行ってみましょう。


・休職満了の通知をメール等で受け取っても焦って即答せず、冷静に内容を確認する。

・主治医と連携し、どのような配慮があれば働けるかを具体化する。

・会社側へ復職の意思があることを明確に伝える。


 上記のステップはあくまで円満な解決や社内交渉を目指すためのものですが、それでも会社側が強硬な態度を崩さず、一方的に退職を迫ってきたり、解雇を強行したりすることは珍しくありません。 もしこうした正攻法が通じなかった場合、次に取るべきは法的な対抗策となります。


100%の回復は復職の絶対条件ではない

-トヨタ自動車事件(名古屋地裁 H10.3.25 判決)-


事案:

車両設計に従事していた従業員が、うつ状態で休職。期間満了時、会社側は「設計職として100%復帰できないなら退職だ」として休職期間満了による自動退職を主張。


裁判所の判断:

解雇無効。 元の職務(設計職)に完全に戻れなくても、当時空いていた事務職など、他の軽易な業務に従事させることが可能であれば、会社はその機会を与えるべきである。


ポイント:

100%元通りでなくても、他の仕事ができるなら解雇は認められないという流れを作った重要な判例です。



会社には見て見ぬふりをしない義務がある

-日本電気(NEC)事件(最高裁 H24.4.27 判決)-


事案:

従業員が精神疾患により遅刻・欠勤を繰り返したが、会社側は「単なるわがまま」と断定。受診命令や適切な配慮をせず、業務命令違反を理由に懲戒解雇したケース。


裁判所の判断:

解雇無効。 精神疾患が疑われる場合、会社は専門医の診断を促したり、主治医から話を聞くなどして精神状態を確認し、適切な措置(休職など)を検討する義務がある。


ポイント:

この判決により、会社が「本人が病気だと言わないから」「診断書を出さないから」と放置して解雇することは、安全配慮義務違反となり得ることが確定しました。



解雇(自動退職)は「最後の最後」の手段

-日本通運(名古屋)事件(名古屋地裁 H19.1.24 判決)-

事案:

うつ病で休職した従業員が「短時間勤務なら復職できる」と主張。しかし会社側は「完全回復していない」として、就業規則に基づき休職期間満了による自動退職を強行したケース。


裁判所の判断: 退職は無効(雇用継続)。 復職にあたってリハビリ出勤(試し出勤)や短時間勤務を認めるなどの配慮を尽くすべきであり、それを行わずに期間満了で退職させることは権利の濫用である。


ポイント:

会社側の「元通りに働けるまで戻さない」という理屈に対し、裁判所が「段階的な復帰(ソフトランディング)を認めるべきだ」と明確に突きつけた点に大きな意義があります。



 労働問題において、弁護士は単に裁判をするためだけの存在ではありません。 あなたの代わりに会社と交渉し、解雇の不当性を指摘して休職期間を延長させる、有利な条件での解決金を勝ち取る、復職に向けた環境を整えさせるといった、あなたの生活を守るためのガードマンとなります。


 あなたは一人ではありません。会社という組織に対して、個人が丸腰で立ち向かう必要はないのです。少しでも不安を感じたら、その通知に判を押す前に、一度弁護士までご相談ください。



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