育休取ったら冷遇された—パタハラ・マタハラは許されない
- 家頭 恵

- 11 分前
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近年、男性の育児休業(育休)の取得が進み、2025年4月には改正育児・介護休業法が施行されました。企業には育児期の柔軟な働き方の導入や、従業員への個別の意向聴取・配慮が義務づけられています。
しかし制度が整う一方で、現場では依然として次のようなトラブルが起きています。
「育休を取得したら出世コースから外された」
「復職後、元の部署に戻してもらえず雑務ばかり任されるようになった」
「時短勤務を申し出たら『やる気がない』と言われた」
こうした行為は、育児を理由としたハラスメント、いわゆる「パタハラ」「マタハラ」に当たる可能性があります。
今回は、育休や時短勤務を理由とする不利益取扱いが違法となるケースや、被害に遭った場合の対処法について解説します。
育児・介護休業法は、育休の申出や取得を理由とした不利益取扱いを禁止しています(育児・介護休業法10条)。
不利益取扱いとは、降格、減給、雇止め、不当な配置転換、昇進・昇格の見送りなど、労働者に不利な扱いをいいます。
また、事業主には育休等に関するハラスメントを防止する体制を整備する義務があります。
マタハラは妊娠・出産などを理由とする嫌がらせや不利益取扱い、パタハラは育休取得などを理由とする嫌がらせや不利益取扱いを指します。性別を問わず、育児に関する権利を行使した労働者は保護の対象です。
具体的には、以下のような扱いが違法となる可能性があります。
・育休を申請・取得したら、人事評価を突然下げられた
・復職後、元の仕事を取り上げられ、閑職に異動させられた
・上司から「育休を取るなんて」「チームに迷惑をかけた」と繰り返し言われた
・時短勤務を申し出たら「それなら昇進は無理」と明言された
これらは不利益取扱いやハラスメントに該当するだけでなく、民法上の不法行為として、会社や上司個人に対して損害賠償請求(慰謝料請求など)が認められた裁判例*もあります。
会社側が「評価を下げただけ」と主張しても、育休取得と時期が近く、合理的な説明がない場合は違法と推認されやすい傾向があります。「将来の利益(昇進・昇給)」を奪うことも立派な不利益取扱いです。
参考裁判例:
厚生労働省委託事業「あかるい職場応援団」より
「妊娠中の軽易業務への転換を契機として労働者を副主任から降格させた事業主の措置につき均等法9条3項違反の該当性が争われた事例:広島中央保険生協(C生協病院)事件」
会社側は「育休を理由にしたのではなく、人事評価の結果だ」と説明することがあります。しかし、育休取得の直後に不利益な人事が行われ、合理的な理由を説明できない場合には、育休取得を理由とした不利益取扱いと判断される可能性があります。
人事権は会社にありますが、それが育休取得への制裁として使われれば違法です。昇進や昇給、人事評価も保護の対象になります。
トラブルでは証拠が重要です。次のような資料は必ず保存しましょう。
・メールやチャットの履歴
・面談や電話の録音
・人事評価や異動辞令
・「いつ・誰に・何を言われたか」を記録したメモ
録音は、自分が会話の当事者であれば証拠として利用できるケースが少なくありません。
まずは社内の相談窓口や人事部に相談しましょう。
改善が見込めない場合は、都道府県労働局(雇用環境・均等部(室))への相談も有効です。会社への指導や紛争解決の支援を受けられる場合があります。
配置転換の取消しや損害賠償など法的な解決を目指す場合は、労働問題に詳しい弁護士へ早めに相談することをおすすめします。
「証拠を集めたり相談に行ったりしたら、余計に居づらくなるのではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。
しかし、相談や権利行使を理由に会社が報復的な対応をすれば、それ自体が新たな違法行為となる可能性があります。 育休や時短勤務は法律で認められた権利です。違和感のある対応を受けたら、一人で抱え込まず、証拠を残したうえで早めに相談してください。
適切な対応は、自分自身の権利を守るだけでなく、同じ職場で将来同じ被害を受ける人を減らすことにもつながります。
参考Webページ:
・厚生労働省「育児・介護休業法について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html#law2024




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