固定残業代が無効になる条件とは?未払い残業代の請求方法
- 家頭 恵

- 11 分前
- 読了時間: 4分
「うちは固定残業代制だから、どれだけ残業しても残業代は出ないよ」
会社からそう説明され、「そういうものなのかな」とあきらめていませんか?
求人票や雇用契約書に「固定残業代(みなし残業代)」と書かれていても、それだけで会社が追加の残業代を支払わなくてよいことにはなりません。
固定残業代制には一定の要件があり、その要件を満たしていなければ、固定残業代として扱えない可能性があります。また、制度が有効であっても、あらかじめ定めた時間を超えて働いた場合には、超過分の残業代を別途支払う必要があります。
今回は、固定残業代制が有効となるためのポイントと、未払い残業代が発生している場合の対処法について解説します。
結論として、固定残業代制自体は違法ではありません。一定額の残業代をあらかじめ基本給や手当に組み込んで支払うこと自体は、労働基準法に反しません。 例えば「月30時間分の固定残業代として6万円を支給する」という制度であれば、実際の残業が30時間に満たない月でも、一定の条件のもとで6万円を支払うこと自体は可能です。 ただし、30時間を超えて働いた分の残業代まで免除されるわけではありません。実際の割増賃金額が固定残業代を上回った場合は、その差額を追加で支払う必要があります。
つまり基本的な考え方は、「固定残業代の範囲内なら追加支給なし、超えた分は追加支給」というものです。
会社が「固定残業代を払っている」と主張しても、裁判では「無効」と判断されることがよくあります。有効と認められるには、主に次の2つの要件が必要です。
・明確区分性:給与明細や契約書で、「基本給」と「固定残業代(手当)」の金額がはっきり区別されていること。「基本給30万円(固定残業代を含む)」のような大雑把な記載では無効と判断されやすくなります。
・対価性:固定残業代が「何時間分の残業に対する対価か」が明記されていること。「何時間残業しても支給額は同じ」といった規定や、月45時間を超えるような過剰な時間数を前提とした設定は、無効となることがあります。 これらの要件を満たさない場合、「固定残業代」として払われていたお金は単なる基本給の一部とみなされ、本来の基本給をベースに計算し直した膨大な未払い残業代が発生することになります。
見落とされがちですが、固定残業代制が有効であっても、定められた「みなし残業時間」を超えて働いた分については、追加の残業代の支払いが必要です。「固定残業代を払っているから、何時間働かせても追加払いは不要」という運用は、制度が有効な場合でも誤りです。
実務上は、
・固定残業代制そのものが要件を満たさず無効(明確区分性・対価性の欠如)。
・制度自体は有効だが、超過分の追加払いがされていない。
のいずれか、あるいは両方の問題を抱える企業が少なくありません。
以下の一つでも当てはまれば、制度の有効性そのものを争える可能性があります。
・給与明細の「固定残業代」が何時間分か記載がない、または契約書と食い違っている。
・みなし残業時間を大きく超えて働いても給料が毎月同じ。
・固定残業代の金額が基本給と一体化していて区別できない。
・求人票と実際の雇用契約書・就業規則の記載が異なる。
固定残業代について疑問を感じたら、会社と交渉する前に、関係する資料を集めておくことをおすすめします。
・雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、給与規程、給与明細、求人票 ・タイムカードや勤怠記録、PCのログイン・ログオフ記録 ・業務メールやチャットの送受信記録、自分で記録した出退勤時刻
特に重要なのは、実際に何時から何時まで働いていたかを示す資料です。会社が「固定残業代だから大丈夫」と説明していても、実際の労働時間と照らし合わせることで未払いが判明することがあります。
固定残業代制が無効、あるいは超過分の未払いがあると判断されれば、未払い残業代は過去に遡って請求できます。時効による制限はありますが、数年分をまとめて請求できるケースも珍しくなく、請求額が高額になることもあります。 弁護士にご依頼いただくことで、 ・契約書や給与明細からの有効・無効の法的診断 ・証拠に基づく未払い残業代(過去最大3年分)の試算 ・会社との交渉や法的手続きの代理
といったサポートが可能です。「固定残業代だから」とあきらめる前に、まずは制度が本当に有効なものか、お手元の資料をもってお気軽にご相談ください。




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