地震・火災の被災後に困る法律問題とは
- 家頭 恵

- 1 日前
- 読了時間: 4分
近年、大規模地震や火災が相次ぎ、防災への関心が高まっています。しかし、見落とされがちなのが「被災後」に生じる法律問題です。
家や財産に被害を受けると、精神的な負担を抱えながら、保険金請求や住宅ローン、近隣トラブルなど、さまざまな手続きに直面します。
今回は、被災後によくある法律問題と、生活再建のために知っておきたいポイントを弁護士の視点から解説します。
命の安全を確保したら、まず行いたいのが被害状況の記録です。建物や家財は、片付ける前に写真や動画で撮影しましょう。
・建物全体
・屋根
・外壁
・室内の損傷
・家具や家電などの被害
これらは保険金請求だけでなく、公的支援を受ける際の資料にもなります。修理見積書や被害状況のメモも保管しておくと安心です。
地震による建物被害は地震保険が対応します。火災保険だけでは地震を原因とする損害はカバーされず、地震後の火災(地震火災)も、原則として火災保険の対象外です。この点を被災後に初めて知り、ショックを受ける方が少なくありません。
地震保険の支払いは「全損・大半損・小半損・一部損」の4区分で認定され、損害の認定割合によって保険金額が変わります。「一部損」と認定されたが実態は大半損ではないか、あるいは「免責事由」を理由に支払いを拒否されたというケースでは、専門的な検討が必要です。サインをしてしまう前に、専門家への相談や損害保険ADR(裁判外紛争解決手続)の活用を検討すべきです。
住宅が全壊しても、住宅ローンが自動的になくなるわけではありません。新居の購入費用と既存ローンが重なり、「二重ローン」となるケースもあります。
このような場合には、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン(被災ローン減免制度)」を利用できる可能性があります。 一定の条件を満たせば、破産によらず住宅ローンなどの減免を受けられる制度です。ただし金融機関との合意が必要で、適用条件の確認も欠かせません。弁護士・司法書士が登録支援専門家として無償でサポートする制度がありますので、一人で抱え込まずにご相談ください。
地震や火災では、隣接する建物や土地への被害を巡るトラブルも起こります。例えば、倒壊した塀の撤去費用や、火災の延焼による損害賠償などです。
火災については、失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)により、重大な過失がない限り失火者は損害賠償責任を負わないのが原則です。一方、重大な過失があった場合や、設備の欠陥などが原因で被害が生じた場合には、責任が認められる可能性があります。
また、地震で境界標が失われた場合は、土地家屋調査士と連携して境界を確認する必要があります。
「弁護士は裁判になってから」という認識がありますが、早期相談のほうが選択肢が広がります。特に以下のような場合は、早めにご相談ください。
・保険会社の損害認定や支払額に納得できない場合(書類にサインする前に確認を)
・住宅ローンの返済が困難で、被災ローン減免制度の適用を検討したい場合
・親が行方不明または判断能力の低下が疑われ、財産管理や相続手続を進めたい場合
・近隣との費用負担・損害賠償について話がまとまらない場合
被災直後は不安定な状態のまま交渉を迫られることが多いです。弁護士が間に入ることで、適正な条件での解決を目指すことができます。
被災後の法律問題は、事前に知識を持っておくことである程度備えることができます。保険内容の確認、ローン条件の把握、家族間での財産・後見に関する話し合いなど、できることから始めておきましょう。
被災後に「何からすればよいかわからない」と感じた場合は、弁護士や法テラスへご相談ください。早めの相談が、生活再建への第一歩となります。
参考Webページ: ・政府広報オンライン
「大規模な自然災害でローンの返済が困難になったかたへ。「自然災害債務整理ガイドライン」をご利用ください。」 https://www.gov-online.go.jp/article/201607/entry-10613.html
・e-Gov法令検索
「明治三十二年法律第四十号(失火ノ責任ニ関スル法律)」




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