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取引先が突然倒産…売掛金は回収できる?

  • 執筆者の写真: 家頭 恵
    家頭 恵
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分


 物価高や人手不足の影響を受け、企業の倒産件数が増加しています。昨日まで通常どおり取引していた相手から、突然「資金繰りが行き詰まり、支払いができない」と連絡が来たら、どう対応すればよいのでしょうか。


 売掛金(未払い代金)を回収できなければ、自社の資金繰りも悪化し、連鎖倒産につながるおそれがあります。


 今回は、取引先が倒産危機に陥った際に知っておくべき債権回収の基本を、弁護士の視点から解説します。

 企業間取引では、商品やサービスを先に提供し、後日代金を受け取る「掛け取引」が一般的です。しかし取引先が資金繰りに行き詰まれば、倒産手続が始まると通常の督促だけでは回収できなくなることも少なくありません。

 「請求書を出しているから安心」「長年付き合いがある会社だから大丈夫」という考え方は危険です。売掛金は、相手に支払能力があって初めて回収できるものだからです。

 支払いが止まってからでは手遅れになることがあります。次のような兆候が見られたら注意しましょう。


・支払期限の延長を求められる

・入金遅延が繰り返される

・分割払いを提案される

・担当者と連絡が取りにくくなる

・急に大量発注をしてくる

・役員や従業員の退職が相次ぐ

・事務所や工場の縮小・移転が行われる


 これらだけで倒産を断定することはできませんが、複数当てはまる場合は、債権回収を見据えた対応を検討すべきでしょう。


 まず確認すべきなのは、「一時的な資金繰りの悪化」なのか、「倒産を前提とした状況」なのかです。

 任意の分割払いや支払い猶予を求められた場合は、必ず合意内容を書面(合意書・覚書)に残し、公正証書化も検討しましょう。口約束では、後にトラブルとなるおそれがあります。

 一方、弁護士から受任通知が届いた場合は、破産や民事再生の準備が進んでいる可能性があります。この段階では、原則として相手方本人と直接交渉はできず、手続に従って対応することになります。


 取引先が倒産する前であれば、次のような手段が考えられます。


仮差押え

 預金や不動産などを一時的に処分できないようにする手続です。証拠や担保金が必要ですが、財産を保全し、回収可能性を高められる場合があります。


内容証明郵便

 請求した事実を証明する方法です。法的拘束力はありませんが、時効の完成猶予(6か月)や、支払いを促す効果が期待できます。


支払督促・少額訴訟

 裁判所を利用する比較的簡易な手続です。支払督促は異議がなければ強制執行へ進めます。少額訴訟は60万円以下の請求に利用できます。


通常訴訟・強制執行

 相手が争う場合や請求額が大きい場合は通常訴訟を提起します。判決後は、預金や売掛金、不動産などに強制執行が可能です。

 取引先が破産申立てをすると、管財人から「債権届出書」の提出を求める書類が届きます。期限内に届出を行わないと、配当を受ける権利を失う可能性があります。届出には請求書・注文書・納品書・契約書などの取引書類が必要です。日頃から書類を整理・保管しておくことが大切です。


 なお、一般債権者への配当率は数パーセントから十数パーセント程度にとどまることが多く、全額回収は難しいのが実情です。

注:「債権者」とは、相手方に代金などの支払いを請求できる権利を持つ人や会社をいいます。


 取引先の倒産は、自社の経営にも大きな影響を及ぼします。しかし、経営悪化の兆候に早く気づき、適切な法的手段を講じることで、回収できる可能性を高められます。


 「長年の付き合いだから」と対応を先延ばしにした結果、回収の機会を失うケースは少なくありません。


 異変を感じたら、早めに弁護士に相談することをお勧めします。初回相談を無料で受け付けている法律事務所も多くあります。手遅れになる前に、一歩踏み出してください。



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