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親に言えないなら、社会に言っていい—子どもの権利とは

  • 執筆者の写真: 家頭 恵
    家頭 恵
  • 6 日前
  • 読了時間: 4分


「家のことを外で話してはいけない。」 「家にいるのがつらい」 「親からひどいことを言われたり、叩かれたりする」  そんなふうに、一人で悩みを抱え込んでいませんか?


 もしも今、家でつらい思いをしていて「誰にも言えない」と感じているなら、一つだけ知ってほしいことがあります。

 あなたには、助けを求める権利があります。それは「親を裏切ること」ではありません。あなた自身を守るために、日本の法律や国際的なルールが認めている大切な権利です。

 1989年に国連で採択された「子どもの権利条約」を、日本は平成6年(1994年)に批准しています。つまり、日本もこの条約の内容を守ることを国際社会に約束しているのです。

 この条約では、すべての子どもに次のような権利が保障されています。

・生きる・健やかに育つ権利(第6条) ・自分の意見を自由に伝える権利(第12条) ・プライバシーや名誉を守られる権利(第16条) ・暴力や虐待から守られる権利(第19条)

 これらは理想ではなく、日本が守るべき法的な約束です。

 警察庁のデータによれば、令和7年(2025年)に警察が虐待の疑いとして児童相談所に通告した18歳未満の子どもは12万人を超えています。ただ、この数字は氷山の一角にすぎない可能性があります。声を上げられないまま、日常的に苦しんでいる子どもがさらに多く存在するからです。

 虐待は身体的なものだけではありません。児童虐待防止法は、次の4種類を虐待として定義しています。

(1)身体的虐待:叩く・蹴る・投げる・やけどを負わせるなど。 (2)心理的虐待:言葉による脅し・侮辱・無視・配偶者間の暴力を子どもに見せる行為(面前DV)など。 (3)ネグレクト(育児放棄):食事を与えない、病院に連れて行かない、学校へ通わせないなど、必要な養育を怠ること。 (4)性的虐待:子どもへの性的行為、性的な画像の撮影・視聴の強制など。

 「これは虐待なのか」と自分では判断できなくても構いません。判断するのは専門家の仕事です。まず相談することが大切です。


 虐待を受けている子どもの多くが、「外に言ってはいけない」「相談したら家族がバラバラになる」「自分が我慢すれば済む」と思い込んでいます。

 しかし、あなたが苦しんでいるのはあなたのせいではありません。子どもを守ることは親の義務であり、社会の責任です。「助けてほしい」と声を上げることは、法律が認めた正当な行為です。親への裏切りではなく、自分自身の命と未来を守る、勇気ある一歩です。


・児童相談所「189(いちはやく)」  全国どこからでも無料・24時間対応。最寄りの児童相談所につながります。

・子どもの人権110番(法務省)「0120-007-110」  平日8時30分〜17時15分、無料で相談できます。

・よりそいホットライン「0120-279-338」

 24時間、さまざまな困りごとに対応しています。


・学校の先生・スクールカウンセラー

 直接会って話せる身近な相談相手です。先生には、虐待を発見した場合に児童相談所へ通告する義務が法律で定められています。


・警察「110番」

 身の危険を感じる場合はすぐに電話してください。緊急時には子どもを安全な場所へ保護することができます。


 どこに電話すればいいかわからなければ、まず「189」に電話してください。


 「相談したら、怒った親に何をされるか分からない」と不安になるかもしれません。でも安心してください。


 児童相談所が情報を受け取ると、原則48時間以内に、安全確認が行われます。必要と判断された場合は、親の同意がなくても、あなたを安全な施設へ一時保護することができます。保護されている間は、安全に食事・睡眠・勉強できる環境が用意されます。


 その後、専門の職員や弁護士があなたの意見をしっかり聞きながら、施設入所や親との関係修復など、これからの生活を一緒に考えていきます。

 法律は、いつでも子どもの側にあります。一人で解決しようとしなくていいのです。


 私たち弁護士も、子どもの権利を守る味方です。児童相談所と連携してあなたの代わりに意見を言ったり、法的な手続き(親権の問題や生活の支援など)を行ったりすることができます。費用が心配な場合でも、お金がかからない仕組み(法テラスの立替制度など)があります。 身近に悩んでいる子どもがいる教員や支援者のみなさまも、ためらわずに児童相談所へお繋ぎください。


 「親に言えないなら、社会に言っていい。」


 それは逃げでも裏切りでもありません。自分の命と未来を守るために認められた、正当な権利の行使なのです。



参考Webページ:

・子ども家庭庁「児童の権利に関する条約 全文」https://www.cfa.go.jp/policies/international/convention/text


・警察庁「令和7年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況について」より

「児童虐待事案への対応状況」(12ページ目)https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/dv.html


・日本司法支援センター法テラス「未成年の方」https://www.houterasu.or.jp/site/miseinen/

※子どもを対象とした支援の案内ページ



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