債務整理という言葉を耳にしたことはありますか?多くの方が一度くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。では、債務整理がどのようなものか知っていますか?と聞かれたらどうでしょうか。明確な回答ができる方は少ないのではないでしょうか。
債務整理は身近な問題から発生するケースが多いため、知っておくだけでも損はしません。本稿では、債務整理について事例を交えながら分かりやすくご説明させて頂きます。
債務整理とは、契約時の条件を見直して借金を減額する手続全体のことを指します。
債務整理は大きく分けて以下の3つの手段があります。
①任意整理
②自己破産
③民事再生(個人再生)
債務整理は、一般的には消費者金融、クレジットカード等貸金業者との取引を整理することを指します。ただ、取引先や個人などを対象として整理することも可能です。
債務整理手続の共通のメリットとしては、債権者からの督促を停止できることです。
督促を停止し、また、約束通りの支払をしなくてもよくなることで、生活をまずは安定させ、精神的な落ち着きを得られます。
任意整理、自己破産、個人再生には、それぞれメリット、デメリットがありますのでそちらについてご説明をさせて頂きます。
借金額そのものは減らず、分割回数、利息を見直す交渉の手続です。
【メリット】
手続の柔軟性が挙げられます。整理する債権者を選ぶこともできるので、ローンの残っている自動車を保有したまま手続を取る、クレジットカードを残して整理する、債務超過でなくても手続が取れる等、他の手続きにはないメリットが多くあります。
例:2社で50万円ずつ合計100万円を借りているケース
利息18%、月3万円返済をしようとすると、
返済合計額は139万6443円(47回、最終回端数)となりますが、
任意整理をすれば100万~105万円くらいまで抑えることができます。
【デメリット】
効果が小さく、借金そのものが減額することはほとんど無いことです。
法律上の強制力がある手続ではないため、必ず減額できるという保証もありません。
借金の返済義務をすべて免除する手続です。
【メリット】
なんといっても借金が全額帳消しになることです。
債務整理の手続の中で、最も効果が大きいのがこの手続きです。
【デメリット】
保持している財産や、破産に至った理由について裁判所に報告しなければならず、場合によってはそれらを調査されることです。また、財産の保有は99万円が上限であり、裁判所で保有資産を処分されてしまう可能性もあります。逆に言えば、99万円の財産は保有して手続が可能です。
借金をおおむね5分の1(最低は100万円)して、36~60回の分割で返済する手続です。
自己破産と同じく裁判所を通す手続です。
【メリット】
やはり借金の減額の幅が大きいこと、住宅ローンを払い続けながら手続きが取れるため、自宅を残すことができるという点です。また自己破産との比較で言えば、裁判所から直接監督はされない、免責不許可事由が無い、何回でも申立ができるというメリットがあります。
【デメリット】
デメリットは少なく、任意整理と比較すると借金減額幅が大きいため、利用されることが多いです。ただ、自己破産と比較すると借金の減額率は低い、安定収入があることが要件である等の制限もあります。
債務整理が必要になる借入の原因は様々です。
債務整理が必要になるまで借金をする人で、いきなり返せないような金額を借りる人は稀です。最初は少しだけ借りて、返せると思っていたがあっという間に借入が増えた、という方が多いです。
それまで借金が無く生活してきた人について、借金が必要になるのは、やはり借金する何らかの理由があります。収入が少なくなった、支出が増えた(あるいは想定外の支出があった)、というパターンです。1回借り入れをしてしまうと、その返済及び利息の支払のためになかなか借金額は減りません。それどころか、借入枠が残っているとそれが銀行ATMの残高のように思えて、次々と借りてしまうケースが多いです。そうなると気持ちも大きくなり「来月返せばいいな」「ボーナスで返そう」などと考えてしまいがちです。
しかし、実際にボーナスが出るとあてが外れることもよくあります。車検、友人の結婚、病気やけが等、予想外の出費で返済ができないことが多くあります。また転職、残業の減少等等、予定どおりにいかないことで、さらに借金が増えます。
それ以外のパターンとしては、ギャンブルや浪費の事例も多くあります。ギャンブルになぜ人は熱中するのか?というのがわかれば、私も違う職業を選んでいます。一つだけ確かなことは、人と休みが違う人は、その退屈を紛らわすためにギャンブルに夢中になる人がおおい。平日が休みの人は、その休みの日に一緒に遊んでくれる友達がいません。家にいても退屈です。そういった人は、どうしても刺激を求めてしまうのではないかと思っています。運転手や営業マンといった人は時間が比較的自由な割に高収入、それがかえって落とし穴になることが多いのではないでしょうか。
また、過程での「小遣い制度」が原因で債務整理に陥るケースがあります。
月収50万円くらいでも、小遣いが5万円(昼食代込)。こういう人が自分の年収資料をもとに借入の審査をすると、非常に大きな枠で借入をすることができます。
100万円借りると、月の返済額は2~3万円、そうするとどうあっても小遣いでは賄えず、また借りる、返す、借りる。これは事実上複利になってしまいます。この繰り返しを3年もすれば、であっというまに400万円くらいの借金額になってしまいます。実際に使える金額は少ないのに、年収が多いため借入枠自体が大きいというアンバランスさが原因で借りれ学が増えてしまうのです。
ラクシュミーさんは、学生時代からアルバイトの収入でカードローンを組んで洋服や化粧品等の買い物をしていました。就職して収入があって返済できると考えていましたが、卒業と同時に引っ越して、引っ越し費用も負担してしましました。借り入れ額が100万円を超えましたが、月1万5000円の利息を何とか支払い、空いた枠でまた借り入れをして、というのを繰り返していました。しかし、仕事は3年で転職することになり、収入が下がってしまい、また、転職までの間の収入減もあったことで借入金が増えます。
借入が4社合計200万円、月の支払額は利息込で月7万円にまで膨れ上がりました
そのためいよいよ支払が難しくなり、任意整理を依頼しました。
任意整理を依頼すると同時に実家に戻って、半年後には月合計3万5000円を払うことで全社和解しました。任意整理を依頼したことで、支払額のトータルは50万円以上減り、また、毎月の支払額も大きく減額しました。
かかった費用:14万円(実費・税込、分割払い)
減った返済額:元金はそのままだったが、月の返済額が半額に。利息を払わなくてよくなったことで、トータル返済額は50万円以上減少。
トールさんは、離婚してタクシー運転手の仕事をしていました。
タクシー運転手は駅等での待ち時間が多くあり、この待ち時間にスマホゲームに課金するようになりました。最初は少しだけの課金でしたが、ゲームに熱中するにつけて課金額、回数も増え、月に10万円くらい課金するようになりました。
スマホで手軽に課金できるので、ついつい給料額を超えて課金してしまいました。
これによる給料の不足分を借入で賄ったのが借入の始まりです。
最初は20万円だけでしたが、課金ゲームがやめられず、ついつい、カードの限度額いっぱいまで借りてしまいました。そうすると、新しくカードを作り、また限度額いっぱいまで借りて、という繰り返しで、借入金は500万円近くなっていました。
元妻から養育費も請求されて、到底返済できるような状況ではなくなりました。
返済ができなくなって会社にも督促の電話がかかってくるようになったため、債務整理を依頼。離婚した元妻に養育費を支払っている上、再婚の予定もあったことから、効果の大きい破産を選択しました。
弁護士と管財人に、スマホゲームに熱中した経緯を話し、反省文を提出したことで、浪費があっても免責を得ることができました。
トールさんは免責後、無事に再婚し、新しい家庭を築いています。もちろん、前妻の子への養育費もきちんと支払えるようになりました。
かかった費用:60万円(管財費用込)
減った返済額:500万円近い借金額がゼロに!
アレスさんは35歳の時、子供が小学生になったので念願の一軒家を住宅ローンを組みました。
順調に住宅ローンを支払っていましたが、第2子が生まれたことで妻が仕事を辞めたこと、会社の業績が悪化してボーナスが減額してしまったことで支払が困難になり、クレジットカードのキャッシング枠を利用して借入を行い、住宅ローンの支払に充当するようになりました。
いわゆるお小遣い制で月3万円を給料からもらっていましたが、ローンの返済のために2万円に減らされ、飲み会のお金も借入をするようになり、借り入れ額は400万円にもなりました。
ついに住宅ローンも滞納するようになり、子供の給食費や運動クラブの費用も支払えなくなる状態となったので、債務整理を依頼。
せっかく建てた一軒家を守るために、自己破産ではなく小規模個人再生を依頼しました。
業者への支払を停止したことで住宅ローンの滞納も解消し、個人再生手続の認可を得て、借入金は100万円に減少し、月々の支払も3万円以下になりました。3年間の返済を無事終え、アレスさんの家庭は幸せを取り戻しています
かかった費用:60万円
減った返済額:400万円→300万円に。弁護士費用を引いても240万円のプラス。将来利息もかからなくなったので、効果はそれ以上。
債務整理は借金からの解放、革命的手段です。
借入金の返済、利息の苦しみから解放する手続です。
債務整理をすると「人生の終わり」のようなイメージがあるなら、それは間違いです。
債務整理をした有名人、今もっとも有名なのはトランプ大統領ですが、日本人でもジャンボ尾崎さん、カンニング竹山さん等債務整理をしています。JAL(全日空)や長崎ハウステンボスも会社更生法を適用し、見事復活しています。
人生の再出発の手段としてはこれ以上のものはありませんし、また、債務整理の手続きを取ったとしてもそのことで日常生活に影響が出ることは決してありません。
いつもの日常を送りながら、利息と返済に苦しむことがない人生を取り戻せます。
人生にリセットボタンはあります、それが債務整理です。
債務整理でお悩みを抱えていらっしゃるようであればまずはご相談下さい。相談することで解消されることも多くあります。
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