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  • 執筆者の写真家頭 恵

未払給与を請求したい!

更新日:2020年8月17日

 給料(給与)というのは、法律上、「雇用者が必ず月1回以上・通貨で支払うこと」が定められています。しかし現実には、さまざまな理由から支払われないケースがあります。

 そのような際には、早めに請求することをおすすめします。なぜなら、立場の強い会社(雇用者)側が放置しそのまま先延ばしになってしまうと、時効を迎えてしまったり、倒産手続を取られてしまったりする可能性が考えれるのです。


(1) 請求書の送付

 一般的には、まず雇用者に対して、未払給与を支払うように、請求金額を記載した請求書を送付します。請求したという事実が分かることと、時効を停止させるという観点から、内容証明郵便等を利用します。勤務先が倒産寸前で財産隠し等が疑われる場合には、仮差押という手続もあります。

 また会社側と未払分の金額を争っている場合には、請求者自身の毎月の給与額、労働した事実を立証する必要があります。給与額については、従前の給料明細、振り込まれている口座(通帳)の写し、労働契約書等のうち1つでもあれば利用でき、労働した事実については、タイムカードの写し、出勤簿等で立証可能です。なお労働契約書があれば、契約書に記載されている労働時間分労働したということが事実上推定されます。


(2) 労働審判・訴訟等

 雇用者へ請求書を送付しても支払が得られない場合、支払義務そのものを争った場合には、労働審判または裁判を申立します。労働審判であれば、ほとんどのケースでは半年以内に解決して支払がなされます。


(3) 労働基準監督署への告発の検討

 支払が無い場合には、労働基準監督署へ給料の未払を告発することも検討します。しかしその際には、次項で解説するように、恐喝罪に該当しないように注意する必要があります。


(1) 給与未払いに対するプレッシャー

 給料の未払いは、単純に労働契約に基づく民事上の責任追及されるだけではなく、刑事上の責任も発生します。

 労働基準法第24条では、賃金の支払方法として「現金で直接、かつ、月に1回以上支払うこと」を定めており、その上で、労働基準法第120条で「(第24条違反に対して)30万円以下の罰金に処する」旨が記載されています。

 このように、賃金未払は単なる民事上の問題ではなく刑事事件になります。仮に労基署に告発すれば、未払給与に加えて罰金まで払わされる可能性があり、使用者(雇用者)側としては速やかに支払う動機になるといえます。

 ただし刑事告発を盾にとって支払を強することは、恐喝罪に該当する可能性があるので、これには注意する必要があります。請求時に「賃金を払わなければ告発する」という条件をつけるのは危険です。


(2) 給与未払いの理由は?

 しかし経営(雇用者)側が、財務上の不安により給与を支払えないというような状態にある場合には、前述のように刑事事件に発展する可能性があるとしても、支払われるのは困難でしょう。刑事罰があったとしても、ない袖は振れないからです。このような場合には、給与請求をしてもメリットが無いことがあります。

(3) 倒産した場合には、未払給与の保障がある

 ただ給料が未払の状態で会社が倒産した場合には、「未払い賃金立て替え制度」があります。破産手続を取っている場合には管財人に、取っていない場合には労基署に申請をすることになります。

 ▽詳細はこちらのホームページ https://www.johas.go.jp/tabid/417/Default.aspx


 当事務所における未払給与請求の費用は、次のとおりです。

 

 着手金・・・5万円(税別)を基本

 報酬金・・・回収額の20%(税別)


 未払給与(賃金未払い)は、労働者の生活をただちに困窮させるものであり、非常に悪質です。未払があったらなるべく早めに労働基準監督署、弁護士に相談するようにしましょう。




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